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アンダルシア旅行記③ 西洋最古の町とシェリー酒の町| トスカーナおらが村便り|Mail Magazine 08 Agosto 2023

白い村2つを訪問した後は、最初の宿泊地であるカディスへ。当初の予定には入ってなかった町ですが、元グラナダ在住の友人から強く薦められたこと、そしてマイナーな町にそそられる私の性分もあり、ここに2泊することにしました。宿泊アパートのイタリア人オーナーからも「あまり知られていないけど、訪れた人がみな恋する町なのよ」と言われ、到着してからも期待がますます高まります。

カディスは紀元前10世紀ごろにフェニキア人により建設され、現存する西洋最古の町としても知られています。大西洋に面した出島にあり、旧市街は南北に長い島の最北端に。大航海時代にコロンブスが出港した港町であり、植民地とスペイン帝国を結ぶインディアス艦隊の拠点港だったことから、戦争では攻撃の標的にもなりました。18世紀、アメリカとの貿易で黄金時代を迎え、その中でも特に裕福だったアイルランド系コミュニティの建造物が今も残り、独特の町並みを形成しています。

町歩きが何より楽しかったのですが、見どころはカディスいち高い場所から眺望が楽しめるタビラの塔、同じく鐘楼からの眺望が楽しめるカディス大聖堂。

町の中に残るローマ劇場やかつての城門などの歴史的建造物、そして新鮮な魚やエビが並び活気であふれる市場は必見です。

旧市街の西側のカレタビーチは、北はサンタ・カテリーナ要塞、南はサン・セバスティアン要塞によって囲まれた人気スポット。旧市街から歩いてすぐなので、私たちのような観光客もほんの数時間、ビーチを楽しむことができました。

サン・セバスティアン要塞自体には入れませんが、そこに通ずる海に挟まれた長い遊歩道から美しい景色を堪能できます。私たちは少し行くのが早すぎたのですが、夕暮れ時は特に美しいはず!

2泊したもののカディス観光は中日の1日で十分だったので、3日目の朝から次の滞在地へ行く道中に近郊のへレス・デ・ラ・フロンテ―ラに寄りました。「フロンテーラ」は境界の意味で、かつてキリスト教国とイスラム教国の境だったことから名づけられたそう。アメリカ大陸発見後、セビリアやカディスという通商の町に近いことから繁栄し、その頃からへレスの産業の中心であったワイン生産は今も変わらず。発酵途中でアルコールを添加した酒精強化ワイン・シェリー酒の町として有名です。

未成年の息子たち、夫は車の運転をするので旧市街にあるワイナリー見学は諦め、ランチに私だけシェリー酒を頂きました。ドライから甘口まで種類が多いのですが、ランチには真ん中のを1杯だけ。ほんのりした甘みがこっくりと濃厚なだけに、この小サイズのグラスで十分満喫できました。自宅用にドライタイプを購入したので、今から飲むのが楽しみです。

へレスはシェリー酒だけでなく、観光スポットも充実。スペインの都市には必ずあるアルカサル(城塞)は12世紀建設のへレスで最古の建造物、そしてゴシック、バロック、新古典主義の様式が入り混じった大聖堂を見学しました。へレス発祥と言われている近代フラメンコ、王立アンダルシア馬術学校などでショーも鑑賞できるので、1泊してもよかったかなと思うほど。予想以上に楽しめたへレス・デ・ラ・フロンテ―ラは、カディスと共にお気に入りの町となりました。

次回はアンダルシア州の州都・セビリア編をお届けします。


文・写真/中山久美子
日伊通訳・コーディネイター。2001年にフィレンツェ留学、結婚ののち、2005年よりトスカーナ北部の田舎に在住。トスカーナの小さな村、郷土料理やお祭り、料理教室などのプログラムを紹介するサイト「トスカーナ自由自在」を運営。