Fattoria San Michele a Torri

Fattoria San Michele a Torri(ファットリーア・サン・ミケーレ・ア・トッリ)

極上オリーブオイル「ラウデミオ」を生む、総合オーガニック農場

フィレンツェから南西15キロのペーザ渓谷、丘が連なる美しいトスカーナの田園風景の中にある、ファットリーア・サン・ミケーレ・ア・トッリ。1980年代末、現オーナーのパオロ・ノチェンティーニ氏がこの地の古の領主の建物と農地を購入したのが始まりだ。当初は家族と大事な友人たちに健全な食物を提供したい、というプライベートな理由からだったのだが、自然にそれらを多くの人に届けたいと思うようになった。法人化した後は「自然なものだけの使用と生物多様性へのリスペクト、それが人と環境のための農業の基盤である」と考えるようになり、今では常識になりつつあるオーガニック農法を1993年という早い段階から実践。持続可能性を追求するのは農法だけでなく、農場の活動はすべて光電力による自家発電、という徹底ぶりだ。

Fattoria San Michele a Torri
Fattoria San Michele a Torri

主力生産品の1つは、オリーブオイル。20ヘクタールにも満たなかったオリーブ畑は、現在は4倍近い75ヘクタールに拡大し、トスカーナの土着品種であるフラントイオを中心に12,000本以上のオリーブを栽培している。オリーブオイルはスタンダードなものが6割、残り4割は「ラウデミオ」だ。ラウデミオの元々の意味は、中世に小作人が領主に貢いでいた収穫物で、1988年、トスカーナの厳選された生産者による厳選されたオリーブオイルのブランド。サン・ミケーレ・ア・トッリでは、オリーブ畑の最高地である標高300mの畑で11月初旬に収穫したものを使用し、収穫後8時間以内に自社搾油所で搾油・24時間以内にフィルターがけし、更にテイスティングをしたうえでラウデミオ候補のオイルを選別していく。しかし社内選別だけではなく、ラウデミオ協会の検査機関と2つの試飲委員会で審査員5人全員の合格なしではラウデミオを名乗ることができない。これらの厳格な審査を全て通過した、まさに最高級オイルがラウデミオなのだ。

極上オリーブオイル「ラウデミオ」
極上オリーブオイル「ラウデミオ」

トスカーナの食卓ではオリーブオイルは欠かせないものであり、こだわりも半端ない。なので、使用用途に分けてオリーブオイルを買い分けたりもするが、このラウデミオは当然ながら、生食に限定した特別なオイル。リゾットやミネストローネ、サラダにカルパッチョ、そしてカリッと焼いたパンにたらりとかけると、フレッシュなオリーブの香りとピリリとした後味がたまらない。シンプルな一皿を、ぐっと格上げしてくれるのだ。

Fattoria San Michele a Torri
Fattoria San Michele a Torri

もう1つの主力生産品は、土地の利を生かしたワイン。この地域は「キアンティ・クラッシコ」と「キアンティ・コッリ・フィオレンティー二」というフィレンツェ県を代表する2つのDOCGワインの生産地であり、この2つ銘柄の他にも赤白ロゼ、スプマンテを含めた12種をラインナップ。15世紀から存在するセラーをそのまま受け継ぎながら、収穫最適時を逃さないように収穫車を活用したり、土着品種以外も積極的に取り入れるなど、時代に合わせた改良を日々加えている。

ファットリーア・サン・ミケーレ・ア・トッリのコスメライン
極上オリーブオイル「ラウデミオ」

2000年からは希少な豚チンタ・セネーゼの飼育と加工品生産を開始、他にも野菜、卵、小麦粉、はちみつ、パンなど、多種多彩な生産品を農場直営ショップで販売し、地元の人が毎日買いに来る直売型農場に。さらにワイン、ラウデミオオイル、チンタ・セネーゼの加工品などのテイスティングを含めた農場見学も行っている。農場まで行けなくとも、現在はフィレンツェにあるショップとレストランでその味が堪能できる。そして数年前からは、オリーブオイルやハーブを使ったソープやクリームも商品開発し、新しいことをどんどん取り入れる革新的農場として、独自の道を進んでいくサン・ミケーレ・ア・トッリ。イタリアに来るのなら、農場訪問もぜひ計画に入れて頂きたい。