アンダルシア旅行記④ 世界遺産が3つあるアンダルシアの州都

アンダルシア州都のセビリアはスペイン全体でも人口第4位の大都市であり、スペイン南部の政治・経済・文化の中心地。当然ながら見どころも多く、大聖堂、アルカサル(城塞を備えた宮殿)、インディアス古文書館の3つが世界遺産に登録されています。私たちは他の訪問地を優先させて1泊2日という短い滞在になったため、家族それぞれの興味を優先させた観光になりました。

へレスからセビリアに入ったのは17時頃。宿にチェックインして一休みした後、バスで向かったのはセビリアFCのスタジアムです。セビリアは昨季のUEFAヨーロッパリーグ(欧州サッカー連盟が主催の欧州クラブチームのサッカーの国際大会)優勝した強豪で、歴史や歴代トロフィーなどを展示したミュージアム、グラウンドや選手のロッカールーム、記者会見場などが見学できるようになっています。

サッカー好きの夫と息子たちは大興奮! もちろん、選手のフリしてロッカールームや記者会見テーブルに座っての写真撮影は必須です。

スタジアム見学、そして夕食を済ませた後は、私たっての希望でメトロポール・パラソルへ向かいました。これはその見た目から「きのこ」の相性を持つ150m×70m、高さ28.5mの世界最大の木造建築で、地下は博物館、1階は市場、そして市場の屋上部分である中2階はイベントなどが開催できる広場空間、2階3階はレストランなども入っている展望テラスになっています。

3階の展望テラスには歩道が設置されており、昼間はセビリアの町の展望が、夜は更にライトアップショーが見られます。時間が読めなかったので事前予約なしで行くと、予想以上の大行列! 結局30分以上待ったので、後でも時間変更が可能なオンラインサイトでの予約をおススメします。しかし待った甲斐があった! と自信を持って言えるほどの風景と光のスペクタクルに、しばし時間を忘れて酔いしれました。

翌日は次の滞在地への移動があったため、観光は夕方まで。まずは宿に近かった陶器店が軒を並べる下町・トリアナ地区を訪れてカラフルな陶器のお土産を買い、その後、バスでセビリアの顔ともいえるスペイン広場へ向かいました。ここは1929年に開催のイベロ・アメリカ博覧会のために建設された、50,000㎡もある大広場です。大きなカーブを描く建物には広場に面してスペイン49県の歴史的出来事を示すタイルが敷き詰められ、それに並行して運河が流れています。夏の屋外コンサートのためにステージや機材で広場の大半が占領されていたのが残念ですが、とにかくものすごいインパクトでした。

そこからは無料デーだった黄金の塔に上って昼間の眺望を眺め、ランチの後はいよいよ大聖堂へ入ります。他のアンダルシアの大聖堂もそうですが、チケットを買うのに結構並ぶので、当日でも良いのでオンラインで時間指定のチケット購入がベター。時間の少し前にチケット購入済みの入口へ行き、送られてくるQコードをスマホで見せるだけで楽に入場できます。

セビリア大聖堂はスペインで1番、世界でもヴァチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂、ロンドンのサン・ポール大聖堂に続いて3番目の大きさを誇ります。実際に入ってみると、とにかく何もかもが巨大で豪奢な装飾のオンパレードは「後世の人に正気の沙汰ではないと思われるような大聖堂を建てる」という建築理念が痛いほど伝わりました。何を見てもすごいとしか言いようがないのですが、やはり圧巻は「黄金の木製衝立」がある主祭壇と、コロンブスの墓、そして94mのヒラルダの塔。カディス大聖堂の鐘楼もそうでしたが、ここも馬で上れるようスロープになっていたのが興味深かったです。

こうして実質1日の駆け足セビリア観光をしたわけですが、1日でよかった、と実はほっと胸をなでおろしていました。それは事前から聞いていたものの、私史上最高の45度という別次元の暑さに疲れ果ててしまっていたから。遠い所はバスを利用したり、比較的過ごしやすい午前にスペイン広場に行くなどの工夫はしましたが、イタリアの暑さとも日本の暑さとも違う、言葉にできない暑さでした。今回訪問しなかったアルカサルやインディアス古文書館、満席で入れなかった老舗レストランのリベンジをしたいですが、夏だけは絶対に避けようと心に誓ったのでした。

次回はパティオとメスキータの町コルドバを中心にお届けします。


文・写真/中山久美子
日伊通訳・コーディネイター。2001年にフィレンツェ留学、結婚ののち、2005年よりトスカーナ北部の田舎に在住。トスカーナの小さな村、郷土料理やお祭り、料理教室などのプログラムを紹介するサイト「トスカーナ自由自在」を運営。