レッジョアプローチ

レッジョ・エミリアの幼児教育とは?

イタリア小話~Chiacchiere!/Mail Magazine 22 Luglio 2020

レッジョ・エミリアの幼児教育とは?

幼児教育に興味がある方、教育に携わっている方、イタリアが好きな方であれば「レッジョ・エミリアの幼児教育」という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。

今回は、イタリアのエミリア・ロマーニャ発祥“レッジョ・アプローチ”について詳しくお話したいと思います。

レッジョ・エミリア・アプローチとは?

第二次世界大戦後、間もない時期に北イタリアにあるレッジョ・エミリアで行われた幼児教育に力をいれようと、教育者や保護者・専門家が一丸となって、自分たちの手で幼児教育の場を設立していった活動を指します。
この時の幼児教育法が「レッジョ・エミリア教育」と呼ばれており、主に個々の意思を大切にしながら、子どもの表現力やコミュニケーション能力、考える力などを養うことを目的とした教育法を指します。
レッジョ・エミリア教育の実践者の一人がローリス・マラグッツィであり、「子どもたちの100の言葉」という有名な彼の詩があります。ここに現代も続くレッジョ・エミリア教育のルーツがつづられていると言っても過言ではありません。

このレッジョ・アプローチが世界的に注目を浴びたのは、1991年に米国ニューズ誌に「世界で最も優れた10の学校」に選ばれた学校が実践していたことで広まったと言われております。

レッジョ・エミリア・アプローチの特徴

レッジョアプローチ

大きな特徴の2つ。

1.自主性・協調性を育む活動

あなたの会社で新規プロジェクトを立ち上げる時、その企画グループを発足し、意見を言い合いながらプロジェクト達成のために、議論・実践を繰り返していきますよね。
それを子どもたちが行います。
このプロジェクトのために何が必要なのか、どのように進めていけばよいのかを半年~1年ちかい期間をかけて、保護者や専門家、保育士たちを含めて進めていきます。

このプロジェクトを進めていくことで、自分で考える力がつき、また相手との協調性、共同活動の中での自分の役割などを知ることで、自主性が鍛えられるとされております。

2.自由な勉強環境

レッジョ・エミリア教育の施設内にはもちろん、キッチンやお昼寝のためのお部屋、ご飯を食べるスペースなどがあるのですが、そのすべての部屋に壁がありません。
そのため、施設内にあるすべてのものが教材となり、より自由な環境で創造性を大切にしながら過ごすことができます。
また、カリキュラムの時間が決まっていないので、「急いで!」などと先生が言葉を発することはありません。子どもたちが自分たちのタイミングで過ごすことができます。

3.ドキュメンテーション

子どもたちの日常生活のすべてを毎日記録し、その発言や行動のすべてをいつでもだれでも見ることができるようにしています。
子どもたちも過去を振り返ることで次に繋げることができ、保護者へもどのように過ごしているかを見せることができます。

イタリア人にとって、レッジョ・エミリア・アプローチが当たり前にあるわけではありません。ただ、日本人よりも、より自主性・創造性を大切にした自由な発想を持って子育てをするご家庭は多くはあります。
イタリア人で自分がその教育を受けていなくとも、レッジョ・エミリア・アプローチに興味を持っている方はとても多く、日本でも広めようと活動されているイタリア人の教師の方もいらっしゃいます。
アートが身の回りに当たり前にある文化で育ったイタリア人は、よりイタリアらしい文化を子どもたちにも受け継いでいく教育により、世界中に知られている“イタリア文化”が出来ています。だからこそ、どの世界よりも、より多くの職人さんがうまれてきているのかもしれません。

いかがでしたか?
小さい頃はどうしても、大人が「〇〇しなさい」「早く」など道筋を作りがちですよね。
全て自分で考えて行動させてみて、大人はあくまでもサポートしながら子どもに寄り添う、というスタンスで子供の自主性を育てていくのがレッジョ・エミリア教育法です。
そのルーツを探りに、ぜひ本場のレッジョ・エミリアに足を運んでみてくださいね♪