ペコリーノチーズ

トスカーナおらが村便り| 20 Maggio 2020

皆さんはチーズがお好きですか?私は好きです!いや、イタリアに来て、本当の意味でチーズが好きになりました。というのも、私も日本にいた頃は、乳製品会社が販売している「スライスチーズ」や「とろけるチーズ」しか知らなかったからです。今では日本でも名の知れた「モッツァレッラチーズ」や「パルメザンチーズ」も、イタリアに来て生活するようになってから初めて食べたものばかり。パルメザン=イタリア語名ではパルミッジャーノ・レッジャーノ、つまりこれはパルマとレッジョ・エミリアという産地が、そのままチーズの名前になっているんですが、同様にゴルゴンゾーラやアジアーゴチーズも、産地の名前だっていうのも、イタリアに来て初めて知りました。こんな風に、州や町によって多くの料理や食材に違いがあるのも、イタリアの面白い所ですね。

では、ここトスカーナではどんなチーズがあって、どのように食べるのか?と言いますと・・・やはり、最もポピュラーなのはペコリーノチーズです!これはペーコラ=羊のお乳から作ったチーズで、イタリア各地で生産されているものですが、有名なのはトスカーノ(トスカーナの)、ロマーノ(ローマの)、サルド(サルデーニャの)の3つ。私もてっきり生産地で分けられているのかと思っていたのですが、調べてみると前者2つは生産地でなく、凝乳酵素や熟成期間など生産方法による決まりのみで、イタリア中部を中心に州をまたいで生産されています。

ではいったい、どのようにしてペコリーノチーズを食べるのでしょうか?そのまま食べるのはもちろんですが、現地ならではの食べ方3つをご紹介します!

ペコリーノチーズと空豆

1つ目は、まさにこの時期限定のお楽しみ!王道中の王道は、旬のソラマメとペコリーノチーズの組み合わせです。こんな風にフレッシュなソラマメをサヤから出して、豆の大きさと同じくらいにペコリーノチーズを切って、混ぜるだけ。ペコリーノチーズの程よい塩気と、良い意味で青くさい苦みのあるソラマメの相性が抜群で、ポリポリいつまでも食べてしまう一品です。

ペコリーノチーズと栗のはちみつ

2番目は、ハチミツとの組み合わせ。ペコリーノチーズと一言で言っても生産者や熟成具合によって、またハチミツも種類によって味が違います。それらをいろいろ試して、お気に入りの組み合わせを見つけるのも楽しく・・・私のお気に入りは、塩気の強い熟成タイプと、トスカーナではポピュラーな栗の蜂蜜の組み合わせです。

ペコリーノチーズとジャム

そしてもう1つが、ジャムとの組み合わせ。ジャムと聞くとイチゴジャムなど果物のジャムを想像されると思うのですが、イタリアでは、チーズに合わせる野菜ジャムがたくさんあるんですよ。私が’初めて食べたペコリーノチーズとジャムの組み合わせは、グリーントマトのジャム。そしてポピュラーなのは、トスカーナでは料理でも良く使う赤玉ねぎのジャムで、赤玉ねぎで有名なチェルタルドのものが手に入った時に、私も作ってみました。野菜のジャムはメーカーにもよりますが、甘さは控えめで、野菜の味がしっかり残ったものです。ジャムとの組み合わせもいろいろありますが、ハチミツと同じで甘みがあるので、塩気が強めのチーズのほうが合う気がします。

現地のペコリーノチーズの食べ方、いかがでしたか?チーズの新しい美味しさに目覚めると思いますので、皆さんもぜひ試してみて下さいね。


文・写真/中山久美子
日伊通訳・コーディネイター。2001年にフィレンツェ留学、結婚ののち、2005年よりトスカーナ北部の田舎に在住。トスカーナの小さな村、郷土料理やお祭り、料理教室などのプログラムを紹介するサイト「トスカーナ自由自在」を運営。https://toscanajiyujizai.com/