
フォロ・ロマーノとは?ローマ観光で外せない古代遺跡の魅力と見どころ完全ガイド
ローマの観光スポットと言えば、コロッセオにスペイン広場にトレビの泉。それらに加えて必ず見ておきたいのが、ローマが古くから栄えてきたことを知る歴史的遺産、「フォロ・ロマーノ」。ローマを訪れた方ならきっとここにも足を運んでいるはずですが、お隣のコロッセオにインパクトを持っていかれてしまい、「あれ、どんなところだったっけ?」とどうにも忘れられがちなのが玉に瑕。確かに広い敷地内には看板や案内もあまりなく、ただ遺跡がゴロゴロと転がっているだけという所も多く、ガイドブックがないと何の遺跡かよく分からないなど、他の写真映えするスポットに比べると地味な印象になってしまうのも仕方がないかもしれません。ですがここは、約2000年前の古代ローマがどれだけの繁栄をもって広く帝国を治めていたかを知ることのできる重要な遺跡。今日はみなさんと一緒に、世界遺産ともなっているこの場所について、歴史や見どころを改めて見ていきたいと思います。
「フォロ・ロマーノとは」
まずは地名からおさらいしてみましょう。「フォロ(伊語foro、ラテン語forum)=多くの人が集まる場所、フォーラム」、「ロマーノ(伊語romano、ラテン語romanum)=ローマの、ローマ市民の」ということで、「フォロ・ロマーノ」とはつまり「ローマ市民の広場」という意味になります。東西に約300m、南北に約100mという巨大な敷地で、紀元前6世紀から紀元3世紀まで、古代ローマの政治・経済・商業の中心地でした。「賽は投げられた」の言葉で有名なユリウス・カエサルが演説をしたり、歴代皇帝たちが凱旋したりしている場所で、戦いを勝利に導いてくれた神をまつった神殿などがたくさん集まっています。
現在はそれらの建物の基礎や柱の一部しか残っていませんが、東西にわたる大通り「聖なる道(Via Sacra)」に沿って立ち並ぶ巨大な石造りの神殿や凱旋門、下水道の整備された痕跡などからは、ローマ帝国には高度な建築技術があったことがうかがえるのです。不完全ながらも残された建造物から、当時の面影を想像すれば、2000年以上も前にこれらが作られたという事実に圧倒されます。遺跡群の並ぶこの壮大な敷地は、近くにあるコロッセオと一緒に「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」として、数あるイタリアの世界遺産の一つに登録されています。
「歴史」
フォロ・ロマーノがローマ市の中心となったのはいつか、というとそれは未だにはっきりとはしていないようです。ロムルスとレムス兄弟によってローマ建設が成ったのは紀元前753年頃。一説によると、フォロ・ロマーノの整備はその後、紀元前6世紀頃に始まったとされています。沼地のような湿地帯で、墓地として使われていたような場所が、それぞれの丘にある村落にとって中心に位置し、中立な原野であったために、会合や会談の場として選ばれたのだと言われています。そこから次第に干拓や水道整備が進み、やがて市場としての利用も始まり、神殿や会堂などの公共建築が建てられ、元老院の会議が執り行われ、会堂の一角では商店や私塾などもできるなど、まさに中心地としてローマの発展とともに繁栄していきました。
西ローマ帝国が滅びると、徐々にフォロ・ロマーノは忘れ去られ、中世には放牧場となり、ローマ帝国の偉大さと栄華を示すシンボルでもあったこの場所は、ルネサンス時代には古代建築の装飾をローマ市街再建の建築資材に使われてしまうなど破壊の危機にさらされました。
栄華を極めたローマ帝政時代には非常に重要な場所であったこの場所が、ローマ帝国の権威ある中心地であったということは、19世紀に入ってから、考古学的な発掘調査が行われたことによってようやく発見されたのです。
「オススメポイント」
フォロ・ロマーノ遺跡全体を一通り見学するのには、約1時間~1時間半くらいを目安にするのが良いかと思います。隣接するパラティーノの丘とコロッセオを合わせて回れる共通チケットがあるので、3時間くらい余裕があるならぜひ3ヶ所見学してみてほしいところ。
元老院が置かれたクーリア、セベルス帝の凱旋門、バシリカユリア(ユリウスのバシリカ)、サトゥルヌスの神殿、ウェスタの神殿、カストルとポルックスの神殿、フォーカス帝の記念柱など、修復・再建されたものも含めて見てほしい建造物はたくさんあります。
一つ一つじっくりとその歴史を感じながら見ていただきたいと思いますが、フォロ・ロマーノ観光の注意点を一つ。それは、フォロ・ロマーノには屋根がないこと。夏のハイシーズンに行くときには特に、日差しを浴び続けることになるので、日除けを必ず持参することをおススメします。でも人がたくさん行き来するので日傘はちょっと邪魔になってしまうかも…。帽子やサングラス、十分な水分補給などで、工夫をしてみてくださいね。
文責/アドマーニ

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