イタリアの方言

イタリアの方言~Chiacchiere!/Mail Magazine 02 Settembre 2020

イタリアの方言

Buogiorno!!
イタリアには方言があるってご存知ですか?一般的に学校や参考書で習うイタリア語はもちろん標準語です。
ただ、方言がない地域が存在しないイタリア。では標準語ってどこの地方の言葉なのでしょうか?
今回は日本にも方言があるように、イタリアにもしっかり地域に根付く「方言」についてお話します。

フィレンツェ

イタリア語の標準語はトスカーナ?

イタリアでは必ずと言っていいほど、独特のアクセントと方言があります。
イタリア語とは全土それぞれの地方で、それぞれの方言を指します。方言がない地域は存在しません。
イタリア人同士でも全員それぞれの方言でお互いに話をした場合、永遠に意思疎通ははかれません。
それくらい方言は全く違う言葉を話します。

そんな中、唯一イタリア語標準語に一番近い言葉を話す地域とされている場所があります。どこだか分かりますか?
それは・・・・

トスカーナ州

と言われています。
トスカーナ州と言えばフィレンツェにシエナなど、世界遺産の街も多く集まる観光地で有名な地域ですね。
一説によると、「神曲」を書いたダンテが、初めてトスカーナ弁をイタリア標準語にして書いたことが標準語の始まりと言われており、イタリア語標準語がトスカーナ弁から由来するものとされているのも大きな理由です。
でも一つだけお伝えしたいこと。
それは、トスカーナだって強いアクセントや方言は存在する、ということです。決して標準語だけではないのです。

特にみなさんが例をあげる有名な方言はCoca cola「コカコーラ」
フィレンツェの話し方だと「ホハホーラ」に変わってしまいます。フィレンツェやシエナ、至るところで「ハホハホ」しており、どうやらカキクケコがハヒフヘホになってしまうみたいです。

素敵なフィレンツェの街中で、ダンディなスーツ姿のイケメンが、別れ際に大きな声で
「ブォナバハンツァ!」と言って去って行ったのを私は忘れません。
Buona vacanza 、正しい発音は「ブォナバカンツァ」。
クスっと笑ってしまったのを覚えています。

でもそれ以外は特徴的な方言は少ないので、標準語になったのかもしれませんね。

トスカーナ以外の方言

ミラノやベルガモなど北イタリアの方でも結構強烈な方言やなまりを話します。
ですが・・・ナポリやシチリア、プーリアは全く負けていません!

南イタリアの方言で、笑っちゃうくらいみんな何を言っているのか分からないこともあります。
例えばどこに行くの?と聞く「Dove vai(ドヴェ ヴァイ)?」が「Addu sta bau?」に。
(もうカタカナで書くことすら困難です。笑)
女の子を指す言葉「Ragazza(ラガッツァ)」が「マンニョーナ」に。

といったように全く違う言葉になってしまいます。
南イタリアはギリシャの影響を強く受けている地域なので、ギリシャの言葉も若干残っているんだそう。

それだって地方には地方の良さだってありますし、方言も学びに行く旅もいいですよね!

現在どの地域でもイタリアの学校教育は、日本同様標準イタリア語を話すように教育しています。
そして私たち外国人にはもちろんちゃんと標準語を使ってくれる方がほとんどですし、テレビやラジオでは、標準語の訓練学校を出た人じゃないと働けないようになっているので、もっとも美しいイタリア語を話しています。

旅行先で、たまーに一生懸命聞いているのに何を言っているのか分からないときもあります。
それはもしかしたら方言の可能性もありますよ。なのでその時は「方言だし分からないのは当たり前〜」と思って落ち込まずに聞き流しましょう。

Ciaoも方言?!

一度は聞いたことがあるでしょう「Ciao(チャオ)」という言葉。
イタリア語で「やぁ」「こんにちは」「バイバイ」などの親しい間柄での挨拶をさします。
実は、このCiaoの語源には面白い事実があるみたいです。

この言葉はもともとヴェネツィアの方言に由来するとのこと。

1700年代のヴェネツィアでは、奴隷たちは主人に対して
“Io sono suo schiavo”
直訳すると「私は、あなたのしもべです。」
つまり、「ご主人様、いつでもご命令ください。」という挨拶を交わしていたそうです。
「奴隷」はイタリア語でSchiavo(スキアーヴォ)なのですが、ヴェネツィアの方言でChavo(チャーヴォ)というそうです。

このご主人様への挨拶が省略され、Chavo転じてCiaoとなり、挨拶表現として世界中に知られるようになったそうです。

もともと敬意を表す言葉だったのが、一転して親しい間柄で使われるようになったのは陽気なイタリア人らしく、面白いですね~。

イタリアの色々な方言を調べてみると、このような新たな発見もあるかもしれません。ぜひ方言に注意しながら、イタリア旅行してみてくださいね。

Buona giornata!!

文/アドマーニ