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ノルマンノ・スヴェヴォ城

ノルマンノ・スヴェヴォ城(バーリ)完全ガイド|プーリア州の中世要塞・歴史・見どころ・アクセス

プーリア州バーリにそびえる「ノルマンノ・スヴェヴォ城(Castello Normanno-Svevo)」は、ノルマン~シュヴァーベン期の歩みを今に伝える中世要塞。白壁の街並みが美しいバーリ旧市街とともに、歴史・建築・展示の見どころや行き方をわかりやすく紹介します。

ノルマンノ・スヴェヴォ城とは|バーリを代表する中世の要塞

イタリアのプーリア州へ行ったことはありますか?
プーリア州は南イタリアに位置し、イタリアを靴で表したときにちょうど”かかと”部分にあたります。イタリアと言えばオレンジ色や茶褐色の建物が並ぶ中世の街並みを思い浮かべますが、プーリアは白壁のバロック調がほとんどです。対岸はギリシャ・クロアチアへと続く程様々な国の文化の影響を受けている州と言えるでしょう。
そのプーリア州の州都バーリに、中世の面影を残し、その昔からこの地を守るために使われていた城が建っています。その名は、「Castello Normanno-Svevo:ノルマンノ・スヴェヴォ城」。この城を訪れればプーリアの歴史がよくわかると言われるほど、複雑な歴史を象徴する建物です。今日はこの城とバーリの街がどのような歴史をたどってきたのかを、少し探っていきたいと思います。

城の特徴|プーリア・ロマネスク様式の威厳ある外観と堀・見張り塔

ノルマンノ・スヴェヴォ城

旧市街の南西にそびえ建つ、プーリアロマネスク様式の、最も威厳のあるバーリのシンボル。バーリ城こと「ノルマンノ・スヴェヴォ城」は、中央の中庭、4つの主要な見張り塔のある伝統的なデザインを特徴としています、そして3つの側面の堀に囲まれています.
カテドラーレの鐘楼も間近に、この高い位置からの眺めは素晴らしいものです。
城はギリシャ人、オスマン帝国、そしてアラブ人の侵略を通して、何度も何度も効果的な防衛体制を築いてきました。 それはまた歴史上の有力者たちが住む場所としても大いに役立ったようです。
まずは、ここに城ができるまでの歴史を見てみましょう。

ノルマンノ・スヴェヴォ城の歴史(プーリアの歩み)|ビザンチンからシュヴァーベン、アンジュー、アラゴンへ

ノルマンノ・スヴェヴォ城

5世紀に東ローマ帝国により城の基礎となる要塞が造られる→11世紀のノルマン時代に、ルッジェーロ2世(ロジャー2世)により初めの基礎が築かれた→1233年フェデリーコ2世(フリードリッヒ2世)によって当時残存していた城壁や塔の骨組みを利用 し再建。無骨な佇まいの城に芸術性の高い装飾が加わった→アンジュー家ナポリ王の時代に外壁が復元され、大きな尖塔アーチの柱廊などが作られた→美しい円柱を持つこの城塞は時代とともにさらに補強され現在の力強さを感じさせる形に変化→1501年より50年弱続くアラゴン朝の時代にはイザベッラとその娘の宮殿として使用されたり、ブルボン王朝には憲兵のための兵舎や牢獄と しても使われた経緯もあった。
現在、城の一部は、展示室や文化財保護局の事務所として使用されているほか、2001年からは博物館として公開され、要塞、中世の広間や礼拝堂に加え、皿や壷など当時の生活用品も展示されている。また、マルチメディア室(Sala Multimediale)では休館日を除く平日9時から13時までこのお城の歴史を紹介するビデオ映像が見られます。(言語は伊、英、仏、独)。見学の際は、有料のビデオガイドを活用すると城への理解が深まるのでオススメです。
また、 ビザンチンやノルマン時代の先在する遺跡の見学も可能です。

城の内部|塔の呼称・玄関装飾・展示コレクションの見どころ

塔と玄関のディテール(未成年者の塔/信号機の塔/オジーブアーチ)

ノルマンノ・スヴェヴォ城

城の隅々には歴史的な瞬間を表す名前の塔があります。
例えば南西に位置する「未成年者の塔」は、かつては少年院(刑務所)や兵舎として使用されており、「ヴィスコンティナ(イタリア貴族の家系)」としても知られています。
南東にある「信号機の塔(マリンタワー)」は、海軍がかつてテラスに信号機を設置した場所でした。
未成年者の塔の近くには、フレデリック2世によって建てられたオジーブアーチのあるエレガントな正面玄関がそびえ立っています。鷲が獲物を爪で食いしばっているという飾り壁の飾りは、城の所有者が行使した帝国の力を象徴しています。

展示室とコレクション(石膏模型・陶磁器・マジョリカ)

この玄関は、葉状の柱頭で飾られた柱と柱形で支えられ、これらは中庭に面した奥にある展示室まで広がっています。
1階にあるギャラリーには、11世紀から17世紀の宗教的および市民的建造物で様々な所から集められたプーリアで最も重要な彫刻装飾の石膏模型が展示されています。上層階の他の部屋は一時的な展示室として利用されており、16〜17世紀の陶磁器やマジョリカ焼きのコレクションが収蔵されています。
中心部は、塔がある四角形の台形の要塞で構成されています。それは、既存のビザンチンの住居に基づいて1131年頃にノーマンのロジャーの要請で建てられました。防衛のために建てられましたと言われておりますが、何よりもバーリの街を支配しているように見える程の作りです。

アクセス|バーリ中央駅からの徒歩・バス・旧市街ルート

ノルマンノ・スヴェヴォ城

ノルマン・スヴェーヴォ城からサン・ニコラ聖堂やバーリ司教座大聖堂までは徒歩で5分少々です。チェントロ・ストリコ(centro storico)と言われる旧市街は迷路のように入り組んでいますが、地図を片手に散策してみてください。また、お城の北側の向かいには「Antica Gelateria del Corso」という美味しいジェラート屋があります。見学に疲れたら一休みにお勧めです。
国鉄バーリ中央駅より徒歩約15分。 駅前のアルド・モーロ広場からウンベルト1世広場を通過し、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世通りまでスパラノ大通りを直進。交差したら左折し県庁舎(Palazzo del Governo)を過ぎたところですぐ右折。80mほど前方に進むと右手にお城が見えます。入り口はお堀にかかる橋を渡ったところ左手。 駅前からはamtabバス20/、22、27の3路線が利用できます。Piazza Massari(マッサーリ広場)下車後、一つ目の角を右折するとお城はすぐ向こう側です。

バーリ観光ガイド|港町の魅力・治安の変化・名物グルメ

旧市街(Centro Storico)の歩き方と雰囲気

バーリ

東西を海に囲まれた特異な環境から、土地の支配者が幾度となく変わった歴史をもつイタリアのプーリア州。その州都「バーリ」は、南イタリアではナポリ、パレルモに次ぐ3番目の都市として知られています。
プーリア州は、2つの海に囲まれた港町の宝庫。中でも、バーリはアドリア海を臨んで建ち、海辺に観光スポットが多く集まります。
少し前までは“治安が悪い街”というイメージが強かった「バーリ」。近年は観光化が進み、見どころが集まる旧市街周辺もイタリアの他の街と同様に安心して過ごせる場所へと変化しています。
日本ではあまり馴染みのないバーリですが、サンタクロースが眠る教会、今日紹介した中世のお城、イタリアで4番目に大きなオペラ劇場があります。港町だけにシーフード料理は抜群の美味しさ!さらに、フォカッチャもバーリ名物のストリートフードとして有名なのでぜひ試してください。

文責/アドマーニ