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トスカーナおらが村便り| 06 Maggio 2020

3月10日のイタリア全土ロックダウンから約8週間、ついに5月4日からFASE2=第二段階に入りました。予想以上にまだまだ規制がありますが、食料品など必要な買い物以外の外出が禁止されていたので、市内だけとはいえ個人のウォーキングやサイクリングができるようになったのは本当に嬉しいことです!まだまだ外出許可証の携帯、ソーシャルディスタンスの順守・マスク携帯などの条件はありますが、私たちにとっては大きな変化。残念ながら、私のウォーキングコースである湖は遊具コーナーがあるからか、ゾーン全体が入場禁止。なので、もう1つのウォーキングコース、裏山へ行ってみました。ロックダウンで人の活動に制限が出ている間、町に野生動物が現れたり、ヴェネツィアの運河にも魚が戻ってきたり、というニュースをよく見ますが、本当に自然は今まで以上にのびのびと、その美しさ、強さを見せつけているようです。

村が一望できる丘からの眺め

わが家の裏庭から坂を上って10分ほど、おらが村が一望できる秘密のパノラマポイント。に到着します。村の中心はまさに写真で見えている所だけで、あとは山に囲まれているのがよく分かっていただけると思います。本当はその先にある馬を飼っているお宅まで行きたかったのですが、今までにはなかった「私有地につき入場禁止」という看板が出ていました。私は以前から暗黙の了解で散歩に来させてもらっていたのですが、きっと検問にもこないエリアと知って、ロックダウン中に見知らぬ人が入ってくるようになったのでしょうね。

距離が縮まった分、いつも以上に目を凝らして植物観察をしてみました。今年はコロナ問題で開催できませんでしたが、毎年春のお楽しみが、おらが村で行われる野草講座。私はまだまだ超初心者ですが、友人やスーパーのおばさんなどは野草エキスパートで、普段から野草を探しに出かけては野草料理を作っています。代表的なのは、Ortica=イラクサで、茹でてリコッタチーズと混ぜてラヴィオリの具にしたり、ペースト状にしてパスタ生地に混ぜたり。このイラクサだけでなく、その形状から「野うさぎの耳」とも呼ばれるPiantaggine=ヘラオオバコも、あちらこちらに生えています・・・しかし、日本人の私が見つけて一番うれしかったのが、このヨモギの群生!今はフィレンツェまで買いに行けないのですが、白玉粉が手に入ったらヨモギ餅を作りたいと思います。

今回は食い気を抑え、野の花のブーケを作ってみました。たった20分ほどのウォーキングの距離でも、よく見ると本当にいろんな種類の野の花が見つけられるのですね。赤いのは5月のトスカーナの風物詩でもあるヒナゲシ、そしてタンポポに似た黄色の花を2種類、 ハート形の小さな花びらがたくさんついている白い花、紫の花は3種類も。いつもは公私ともに忙しくて余裕がない5月ですが、今年はこの状況をうまく生かして、思い切り自然に戯れてみたいと思います。


文・写真/中山久美子
日伊通訳・コーディネイター。2001年にフィレンツェ留学、結婚ののち、2005年よりトスカーナ北部の田舎に在住。トスカーナの小さな村、郷土料理やお祭り、料理教室などのプログラムを紹介するサイト「トスカーナ自由自在」を運営。https://toscanajiyujizai.com/