
季節を告げる黄色い花たち
早いもので6月に入りました。気温がぐんぐん高くなり、夏のような毎日が続くトスカーナです。新緑やさまざまな花が太陽を浴びてキラキラと輝くこの季節、特にビタミンカラーである黄色の花からは強いエネルギーを感じます。黄色の花といえば、皆さんは何を思い浮かべますか? イタリア、特に田舎に引っ越してきて気がついたたくさんの種類の黄色の花たち。それらが咲くたびに季節を実感することもたびたびです。そんな季節を告げるの花を5つ、順に紹介していきたいと思います。
①ミモザ
ふわふわした小さな花が寄り添うように咲いているさまは、可愛い!の一言。マメ科アカシア属のオーストラリアが原産だそうですが、耐寒性も耐暑性もあり育てやすいため、ヨーロッパ各地や日本でも栽培している人が多いですね。イタリアでは3月8日の国際女性デーに女性の送られる花で、開花も通常は2月末くらいから。しかし近年の温暖化からなのか、1月末くらいから咲いてしまう年もあります。
②レンギョウ
アジア原産ですが、こちらで見るものはドイツで交配されたアイノコレンギョウという品種のようです。開花は3月~4月で、1つの枝にいくつもの小さな花が競うように咲いているので見ごたえがあります。ミモザと同じく耐寒性・耐暑性にも優れてる強い植物なので、公園や垣根に使われることが多いそう。実際に、おらが村では公園にたくさん植えられています。
③ジネストラ
これはまさに今、家の周りから道路の脇まで、あちらこちらで風景を黄色に染めている花、ジネストラです。これが満開になってくると、ああ、夏がやってきたな~と実感します。日本語ではエニシダ、または金雀枝や蝶形花。枝に群がるように咲いている黄金の小さな花が、雀や蝶の形に似ているからそう名付けられたようです。逆に英語やドイツ語での名前を訳すと「ホウキ」。実際にジネストラの枝を使ってホウキを作っていることから名付けられました。
④西洋オトギリソウ
ヨーロッパでは6月24日の聖人ヨハネの日までに咲くとされ、2020年7月にご紹介した「聖ヨハネの聖水」にも使われる花です。ヨーロッパ、そしてアメリカに渡った自生する花で、トスカーナでもあちらこちらで見られます。このイペーリコ(西洋オトギリソウのイタリア語名)がすごいのは、その薬効成分。花を1か月ほどつけた植物性オイルは抗菌、止血、肌再生の効果が素晴らしく、私も2020年に初めて作ったそのオイルをいまだに切り傷や火傷などの際に使用していますが、びっくりするほどすぐに痛みが治まり、すぐにかさぶたになります。
⑤ひまわり
イタリアを代表する女優、ソフィア・ローレン主演の映画「ひまわり」の影響からか、イタリアの風景のシンボル的な存在のひまわり。ここトスカーナでもあちらこちらで広大なヒマワリ畑が見られます。時期は毎年若干ずれるますが、例年は7月後半~8月半ばくらいまで。大きな花を一斉に太陽へ向けるひまわりのパワーは底知れないものがあり、私も道中で見つけるとついつい動画や写真を撮ってしまいます。
皆さんのお気に入りの黄色の花は見つかりましたか? 該当するシーズンにイタリアに来られる時は、ぜひ探してみてくださいね。
日伊通訳・コーディネイター。2001年にフィレンツェ留学、結婚ののち、2005年よりトスカーナ北部の田舎に在住。トスカーナの小さな村、郷土料理やお祭り、料理教室などのプログラムを紹介するサイト「トスカーナ自由自在」を運営。著書に「イタリアの美しい村を歩く」、「イタリア流。世界一、人生を楽しそうに生きている人たちの流儀」など。