ピエロ・デッラ・フランチェスカの故郷、サンセポルクロ

ピエロ・デッラ・フランチェスカの故郷、サンセポルクロ

前々回のメルマガで紹介したピエロ・デッラ・フランチェスカは、ボッティチェリと並ぶルネサンス初期の代表的な芸術家。アレッツォ北部の小さな村ボルゴ・サンセポルクロ(現サンセポルクロ)に生まれ、そこでさまざまな学問の習得をした後、1430年に画家アントニオ・ディ・アンギアーリの助手としてキャリアをスタートさせました。のちにフィンレンツェやアレッツォ、そしてミラノやウルビーノなどイタリア各地で活動しましたが、故郷には彼の作品が4つ残されています。アレッツォから直通バスで約一時間で行けるので、観光地から離れてローカルな旅をしたい方にもおススメの村です。

アレッツォからのバスは旧市街の西側すぐそばに着くので、そこからメインストリートのニッコロ・アッジュンティ通りを進みましょう。この通りとその周辺に、サンセポルクロの見どころがきゅっと固まっています。

ピエロ・デッラ・フランチェスカの故郷、サンセポルクロ

伝説によると、巡礼者である2人の聖人が聖遺物を祭るための小礼拝堂を建設したことから、サント・セポルクロ=聖なる埋葬地と呼んだことが名前の由来になっています。丘に囲まれた立地、現在でも各州の交わる場所のため重要地とされ、中世でミラノ支配下に、その後リミニ、教皇庁、そして1441年にメディチ家のフィレンツェに統治され、その頃に建設されたものが今に残ります。

まずは村一番の見所である市立博物館へ、ここではピエロの作品が4つ「ミーゼリコルディアの祭壇画」、「キリストの復活」、「聖ジュリア―ノ」、「トロ―ザの聖ロドヴィーコ」があります。 その中でも「キリストの復活」は博物館の看板的な作品で、近年修復が行われたばかり。ピエロの作品の他にも、アンドレア・デッラ・ロッビアの色彩テラコッタや、ポントルモの作品など、小さいながらも充実した展示内容となっています。

ピエロ・デッラ・フランチェスカの故郷、サンセポルクロ

ピエロファンが絶対はずせないのが、ピエロの家=ピエロ・デッラ・フランチェスカ財団です。財団と言ってもピエロを紹介するパネルや動画の投影などが一般公開されている建物で、事務所の一角にはピエロのフレスコ画も残っています。スタッフの方は親切で、いろいろ教えてくれますよ。そして見逃してはいけないのが、最上階にあるパノラマポイント。窓が額縁のようになり、そこに現れる旧市街はまさに絵画のような美しさです(TOP写真)。 財団前の広場にはピエロの像もありますので、こちらもお忘れなく。

財団のすぐ先には、ピエロと並んでサンセポルクロのもう一つの顔である、アボカ博物館があります。

ピエロ・デッラ・フランチェスカの故郷、サンセポルクロ

アボカは薬草製品メーカーで、博物館は2002年にオープン。建物は1500年代建設のブルボン・デル・モンテのお屋敷で、製品のパッケージにもなっています。博物館は2階ですが、階段から薬草のイラスト展示が始まり、薬草を擦る乳鉢や薬壺や図鑑のコレクション、かつての薬局の再現、ドライフラワーの間など、もりだくさんの内容。1階はうちの息子たちもお世話になった薬草使用の製品やグッズ、書籍なども充実しており、薬草図鑑のイラストポスターは素敵なインテリアにもなります。

その他にも財団のパノラマポイントから鐘楼が見えていたドゥオモや、あちらこちらに残る中世の塔など、歴史が感じられるモニュメントもたくさん。次回メルマガでは、同じティベリーナ渓谷エリアにあるもう一つのピエロゆかりの地や、合わせて行きたい美しい村などを紹介していきます。フィレンツェから、アレッツォからのワンデイトリップにぜひ!

ピエロ・デッラ・フランチェスカの故郷、サンセポルクロ

日伊通訳・コーディネイター。2001年にフィレンツェ留学、結婚ののち、2005年よりトスカーナ北部の田舎に在住。トスカーナの小さな村、郷土料理やお祭り、料理教室などのプログラムを紹介するサイト「トスカーナ自由自在」を運営。著書に「イタリアの美しい村を歩く」、「イタリア流。世界一、人生を楽しそうに生きている人たちの流儀」など。