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アンダルシア旅行記② 圧倒的な景観を誇る白い村2つ| トスカーナおらが村便り| Mail Magazine 08 Agosto 2023

スペイン17州のうち、一番南部にあるのがアンダルシア州。私たちは州内8つの県のうちマラガ県、カディス県、セビリア県、コルドバ県、グラナダ県の5県、それぞれの県都を含む11か所を巡りました。マラガ空港に夜に到着して近くで一泊し、レンタカーを借りてまず向かったのがカディス県の県都カディス。しかしマラガからカディスまでは魅力的な白い村がいっぱいということで、移動がてら2つの村を訪問しました。どこに行くか迷いに迷いましたが、最終的に決めたのはロンダとセテニル・デ・ラス・ボデガス。決め手となったのは、その村でしか見られない圧倒的な景観でした。

ロンダはマラガ県、標高739mの絶壁に立つ白い村です。私たちは住宅地にある無料駐車場に車を置き、大通りを歩いて中心街を目指しました。村の中心は新市街と旧市街に分かれており、私たちが入っていったのは新市街。飲食店やお土産物店が並ぶメーンストリートには、強い日差しから守るために日よけの布が貼られています。スペイン名物であるチュロスの有名店でしっかりエネルギー補給をした後、ロンダのシンボルでもあるヌエボ橋のビューポイントへ。ヌエボ橋とは新しい橋という意味で、南東にあるもう1つの橋・ビエホ橋(古い橋)とともに、新市街と旧市街を結んでいます。メーンストリートから路地を抜け、2つの橋を結ぶように新市街側につくられたクエンカ公園に向かいました。

側面から見るヌエボ橋は迫力満点! 高さ約98mある橋の下は渓流となっており、真下を見ると足がすくみそうになります。ビエホ橋へ下りながら見るその景色から、川の浸食で生まれた渓谷によってロンダが二分された様がよく分かります。

ロンダの見どころはこの景観に集約されますが、私たちはビエホ橋を渡り、坂を下ったところにあるアラブ浴場跡を見学しました。建設はイスラム支配時代の13~14世紀で、スペインで最も保存状態が良いアラブ浴場跡と言われています。中では解説ビデオが上映され、当時どのように使われていたのか理解できるようになっています。

もう1つの見どころは、スペイン最古の1つである闘牛場。そして旧市街側からヌエボ橋を見られるアルデウエラ展望台、ロンダを取り囲む大自然を望むロンダ展望台など。これらは半日でも十分に周れますが、雄大な自然にそびえ立つこの村に私たちはすっかり魅了されてしまいました。

名残惜しくロンダから出て次に向かったのは、車で20分ほどのカディス県セテニル・デ・ラス・ボデガスという小さな村。川の浸食によりロンダは町が2つに分かれましたが、セテニルはそれによってできた岩の下や隙間に家屋を作りました。村の中心、小さな川の両岸にこのような岩に覆われた道が見どころです。

対岸は道の上に完全に岩が覆いかぶさった部分があり、トンネルのようになっています。休憩に入ったカフェで建物内部を少しだけみることができたのですが、家の壁や天井の一部が岩になっていました。最初にここに家を建てようと、そしてどうやって建てるか考えた人はとても勇気のある人だったに違いありません。私のような環境客が見ているだけで、岩に押しつぶされないか不安になるくらいですから・・・。1つだけ残念だったのは、このカフェがあまりにもぼったくり価格だったこと。この村へ行く方には、その前後のどこか別の場所で休憩することをおススメします!

次回は海に囲まれた出島、カディス県の県都・カディス編をお送りします。


文・写真/中山久美子
日伊通訳・コーディネイター。2001年にフィレンツェ留学、結婚ののち、2005年よりトスカーナ北部の田舎に在住。トスカーナの小さな村、郷土料理やお祭り、料理教室などのプログラムを紹介するサイト「トスカーナ自由自在」を運営。