イタリア 2006年買い付け旅行記17 イタリア食材専門通販ショップ ベリッシモ
Business Diary

イタリア買付け旅行記(2006年初夏 6月4日〜6月22日 16泊18日の旅)

6月20日(火) Pesto Ligure
 シチリアから、ミラノに戻ってきました。
 いよいよ日本への帰国まであと二日。
 今回の買い付け旅行も、最終調整段階に入ります。

 買い付け旅行の前半で利用したミラノ駅前の
 ビジネス・ホテルに再度、チェックイン!一泊した翌朝、
 再びリグーリア地方に電車で足を伸ばします。

 シチリアへ渡る直前に知ったあの味。
 ジェノヴァで見つけたバジリコのペースト「Pesto Ligure」を
 作っている会社になんとしてでも行かなければ!
 どうしても、あの味だけは忘れられなかったのです。

 早速、電車の時刻表を調べると、
 ミラノから、製造元のあるリグーリアのインペリアという駅まで、
 直通の快速電車があることがわかりました。


 朝9時10分、ミラノ中央駅発。
 インペリアには12時27分到着とあります。
 往復で7時間弱の長旅になります。
 一日の半分が移動で消費されてしまう。
 でも、それだけの時間と労力を費やしてでも訪問する価値が
 絶対にある!そう思い込んだのです。

 快速電車(Inter City)は万一のことを考えて
 二等ながらも席を予約しておきます。
 長旅だから、少しでもゆっくりと移動をしたいものです。

 電車はジェノヴァを通過し、やがて美しい海岸線を
 ひた走ります。 浜辺には、海水浴客がちらほら。
 6月中旬は、もう夏の始まりなのです。

 車窓から風景をぼんやりと眺めていて、ふと気がついたことがありました。
 それは「建物の外壁の色」です。
 ジェノヴァから西、インペリア方面に向かえば向かうほど、
 どんどん建物の色がカラフルになっていくのです。

 ピンク、イエロー、グリーン。
 パステルカラーで美しく彩られた建物は、
 どれもたいてい濃い目のグリーンカラーのサンシェードや
 ブラインドがアクセントとして配されます。

 美しいなぁ・・・。
 もし自分が家を建てるなら、きっとコレだな!!

 そんなことを考えながら、あっという間に電車は
 目的地のインペリアに到着です。
 インペリアという村は、何を隠そうリグーリア地方の
 オリーブオイルの真髄といえる「タジャスカ種オリーブ」の
 主産地です。

 リグーリア・オイルを名乗るには、
 この「インペリア」という名前がついてないとモグリ扱いです。
 標高が600mほどと低めで海岸線が近い畑は、
 北からの寒波もゆるく非常に温暖。
 車で30分も走れば、そこはもう南フランスという場所なのです。
 なんとなく南仏プロバンスを彷彿とさせる風景は、そのせいでしょうか。

 駅には、今回初めて会うことになった製造元の担当者が
 出迎えに来ているはず。
 昨日も携帯電話で、到着予定時間を知らせてありました。

 迎えてくれたのは、背の高い男ロベルト。歳は8つ下です。
 東洋人を見つけて、手を差し伸べてきました。
 「シニョール・シミズ?ようこそインペリアへ!
 さあまずはランチでもしましょう。」

 車に乗り込み、彼の運転で海沿いのレストランへ直行します。

 初めての相手でしかも彼、英語が話せません。
 すべてイタリア語での会話。
 これまでになんとなく聞き覚えた言葉を総動員して、
 なんとかコミュニケーションを図らねばなりません。

 こんなとき、相手もなるべく簡単なイタリア語で私と
 話すよう心がけてくれるので、ありがたいです。
 はるばる東洋から訪ねてきたんだから、
 当然といえば当然のことですけどね!!


 レストランのテラス席で涼しい風にあたりながら、
 彼のオーダーで出てきた料理は、
 ほとんど野菜と魚のみ。
 どれもみな、胃袋に優しいものばかりです。

 先日もシチリアでたっぷりと美味しい魚料理を
 いただいたばかりですが、ここリグーリアのお料理は、
 どれもシチリアのものとはまったく異なる料理ばかり。
 もちろんオリーブオイルをたっぷりとかけながら
 いただきますが、どうやらそのオイル自体が違うのです。

 一言でいうと「ウルトラ・スムーズ」!!!

 試飲の際、口に含むとあまり強い香りや味はなく、飲み込み際に
 すううーーーーーーーっ!と喉を伝わり、胃袋に流れていくのです。
 喉を通るときに辛いなんてことはまったくありません。
 ?????不思議に思ってロベルトにたずねてみました。

 ロベルト「リグーリア人は、辛いものが好きじゃないんだ。
 デリケートな味が好きなのさ。だからオリーブオイルも辛くない。
 当然、料理に唐辛子を使うこともほとんどないんだよ。」

 いわれてみて、ようやく気づきました。
 まったく味がない??と感じていたオリーブオイルは
 実は味がないのではなくて、素材の味特に魚のうまみを
 強く演出するための「光る脇役」的存在なのです。
 しっかりとした細い線を感じる、デリケートなオイルです。

 いわれるとおり、料理とあわせれば、魚のもつあの特有の
 生くささがキレイに取れ、うまいことオイリーな感じになります。

 料理の中で、戻したバッカラのタルタルステーキに、
 このリグーリア・オリーブオイルをたっぷりとかけまわし、
 塩少々とレモンを絞ったセコンドは超美味!!!
 白アスパラのグリルもいっそう、味わい深く感じられました。


 ランチを終えて、再び彼の愛車SMARTに乗り込み、
 いよいよ本社へレッツゴー!!

 ところで彼の愛車SMARTですが、
 ワタシ、初めて乗りました。
 なかなかイイですね!!
 二人乗りで極端に全長が短いため、路上駐車でスペースが
 不足していても、どこでも止めてしまえるのです。

 なおかつ走行性能も、街中だけ走るなら必要にして十分。
 メルセデスが作るだけあって、とても合理的なクルマでした。
 イタリアの街角でもとってもたくさん見かけるSMART。
 狭い道が多く、駐車場が狭い地域ではとってもオススメです。


 創業してまだ10年という社歴の浅い会社ですが、
 家族経営でマジメなモノ作りをしているなあ、という印象です。
 しかし、社歴が浅くとも、所有するオリーブオイルは
 どれも高い評価を得ている実力派。
 SOL金賞はもちろん、スローフード協会の3オリーブ受賞など、
 数え切れません。

 さっそく、試食を開始しました。

 今回のお目当ては「Pesto Ligure」だけれど、
 ショールームにはもっといろんな種類のペースト類や
 オリーブオイルが並んでいて、
 全部はとても試食し切れません。

 あまり間口を広げるのも困るので、
 適当にジャンルを絞り込んでの試食となりました。
 ペースト類をいろいろと試してみて、
 やはり自分が気に入ったのはバジリコのペーストでした。

 そのバジリコのペーストにも二種類あり、
 一つはいわゆる「ジェノヴェーゼ・ペースト」というもの。
 バジリコが40%、オリーブオイルが30%。その他はパルミジャーノ・
 チーズと松の実が主成分です。バジリコはこの地方独特の
 「バジリコ・ジェノヴェーゼ」という種類。小ぶりな葉っぱです。

 しかし自分には、このジェノヴェーゼ・ペーストよりも
 やはりジェノヴァでサンプルとして購入・味見した
 「ペスト・リグーレ」のほうが美味しく感じたのです。
 これはほとんどジェノヴェーゼ・ペーストに近い成分構成ながら、
 ちょっとオリジナル成分がアレンジされ、含まれています。

 だから、こんなにもまったりとした美味しいペーストに
 なるのか・・・!!いわれてみて、初めてわかりました。
 確かに、その秘密の成分が加わればこうなるよね!


 ロベルト「ジェノヴェーゼ・ペーストはもちろんこの地方の代表的な
 ペーストだよ。でも本当にこのスタイルのペーストが好きな人なら、
 ペスト・リグーレのほうにハマるだろうね!」

 自信ありそげな言葉に、うんうんとうなずく自分がいました。


 次に、自慢のリグーリア・オリーブオイルをテイスティング。
 トスカーナで覚えたテイスティング方法を思い出し、
 じっくりと口の中で転がして味を確かめます。
 10種類以上のラインナップの中から、選び出したのは
 「タジャスカ100%」のオリーブオイル。

 地下のステンレスタンクに窒素充填されて劣化を止められた
 オリーブオイルは、ノンフィルタード。
 いわゆる自然のデキャンタをしてあります。
 したがって、オイルがすべてタンクから抽出されると、
 底にはきっちりとオリがたまっています。

 何よりも自然な風味を残すために、
 このノンフィルターが必要なのだそうです。
 この方式は、シチリア産オリーブオイル「プリモD.O.P.」と
 まったく同じデキャンタ方式です。

 こういうテイストのオリーブオイルは、
 ベリッシモのラインナップには今のところ存在しません。
 今までのシチリア産、トスカーナ産とはまったく異なる
 オリーブオイルが、次回よりラインナップに加わりそうです。

 さらに、オリーブオイルのモトとなっている
 タジャスカ・オリーブの実の塩水漬けもグーです。
 しっかりと3ヶ月間、漬けられた実はやわらかくてジューシー。
 噛むとじゅわっとオイルがにじみ出てくる感じです。
 サラダやパスタソースに加えれば、とっても美味しそう!

 テイスティングを終えると、早速、商談開始。
 輸出用の価格表を渡されます。
 しかし、どれもポーションがやや大きめ。
 実際に日本で流通するにはもう少し小さくて買いやすい値段で
 ないと、お客様には不便をおかけしてしまいます。

 そこで、ベリッシモ専用商品として、
 指定のサイズでこのペスト・リグーレを作ってもらうよう
 頼んでみました。どこにも出回らないオリジナル商品です。

 ロベルトは、二つ返事でOKしてくれました。
 まずはサンプルとして、先行マーケティングを兼ねて
 少量ロットをスグ発注します。
 その後、イタリアフェアなど向けに追加発注をするということを
 約束して、商談は成立いたしました。


 あーーーーーあっ!!


 これでようやく、数年越しの念願がかなえられるっ!
 「美味しいジェノヴェーゼ・ソース探求」の命題に、
 ようやく答えを見出すことができた、記念すべき一日でした。

 明日はいよいよ、帰国。
 これまで過去最長の買い付け旅行でしたが、
 なんとか土壇場で、収穫をきっちり得ることができました。


 (ベリッシモ店長・清水)
↑これから3時間強の列車の旅。快速電車InterCityを予約しました。
↑到着したインペリアの駅で腕組みして待っていてくれたロベルト(右端)。
↑どのお料理にも、たっぷりとリグーリア・オイルをまわしかけます。超美味!↓
↑ケーキの形とか、家のカラーリングとか、なんとなくフランスちっく↓
↑オリーブオイルは相当評価が高く、各賞を取っています↓
↑多種多様なペーストの種類と、手作業によるボトリング風景↓
↑地下に貯蔵される窒素充填ステンレスタンク。このタンクの中にオリーブオイルが眠っています
↑小さくて紫色をしたタジャスカ・オリーブを3ヶ月かけて塩水に漬け込みます
↑やはりコレだな!ペスト・リグーレ↓

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